今ごろのパリ 2010年秋 吉田 進
今ごろのパリ
2010年秋 吉田 進
僕の近況報告も兼ねて、パリの話題をお伝えしたいと思います。
近況報告」
バグパイプと言えばすぐ想い出すのが、スコットランドのキルトを着用した男性ですが、この楽器の起源は約3000年前に遡ると言われ、今日でも広くヨーロッパ各地で演奏されています。伝統楽器振興協会「ル・シャンティエ」の委嘱で、この楽器の名手エルワン・ケラヴェックのために独奏曲《祈り》を書きました。以前、やはり伝統楽器であるハーディ=ガーディのために作曲した経験がありますが、フランス人が自らの永い伝統を担う楽器のための作品を、日本人である僕に委嘱してくれることを、僕は誇りに思っています。何となく雅楽の笙と篳篥を想わせるバグパイプの響きに耳を傾けていたら、どこからか祈りが聞こえて来ました、「祈り」はこの数年、僕にとって最も大切なものになっています。本作は来年4月にグルノーブルの音楽祭で初演、CD化が決定
「パリの話題」
遂に見ました《ショウ・ボート》
フランスでは英米のミュージカルをほとんど上演しないため、このジャンルの大ファンである僕は長年の間、欲求不満でしたが、近年パリのシャトレ座が盛んに取り上げるようになったのは大きな福音です。しかもこの度上演したのが、あの伝説的ミュージカル《ショウ・ボート》(1927年演)。それまで娯楽色の強かったミュージカルにしっかりした、しかもシリアスなストーリーを導入し、い わゆるミュージカル・プレイの先駆となった作品です(作曲ジェローム・カーン、台本と作詞オスカー・ハマーシュタイン二世)。お馴染の《Ol' Man River》のほか、《Can't Help Loving Dat Man》、 《Why Do I Love You》... カーンの紡ぐメロディーは堅牢で揺るぎがなく、その後のミュージカルの手本になったことが良く分かります。例えて言えば、かつて日本で舞台や映画の《マイ・フェア・レィディ》や《ウエスト・サイド物語》に夢中になっていた僕は、「音楽の父」バッハを知らずにベートーヴェンやシューベルトを聴いているのと同じようなものだったのです。ミシシッピー河を運行する船上で行なわれるショウの芸人たちの人生を描くこのミュージカルには、人種偏見問題も扱われており、今回の公演が南アフリカ共和国のケープタウン歌劇場の製作であったことも、意味深いことと思われました。
☆朝日カルチャーセンター連続講座「フリーメイソンと大音楽家たち」
フリーメイソン組織は、18世紀初めに誕生した時から音楽に重要性を与え、多くの作曲家 たちがメイソン思想を作品の中に盛り込みました。
今回は、モーツァルトがずばりフリーメイソン内部の儀式のために書いた作品を、 ご一緒に全曲聴いてみま しょう。メイソン儀式の珍しい図版や貴重な映像も、 ご覧に入れたいと思います。
第6回「モーツァルトのメイソン儀式音楽」 2010年11月15日(月)13:30
問合せ/申込み 03-3344-1945
☆武藤記念講座「シャンソン《枯葉》のすべて」
日本人が一番好きなシャンソン《枯葉》。この歌を創唱したイヴ・モンタンは、自分の人生の最大の失敗は《枯葉》だった」と語っています。
数奇な運命をたどって世界的なヒットに至った
《枯葉》の履歴書を、音と映像で綴ります。
大阪:武藤記念ホール 2010年11月20日(土) 13:30
問合せ 06-6941-2433
吉田 進 (ホームページをぜひご覧くたさい)
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